ホーム7種類の中国茶 > 技術の結晶【青茶】

歴史と技術が生んだ結晶「青茶」

■ざっくりどんなお茶?■

青茶

 

青茶、またの名を、烏龍茶。日本で中国茶といえば誰もがイメージするのはこのお茶。緑茶の爽やかさと紅茶の華やかさを併せ持っている。

 

茶葉の発酵をある程度で止めるので、”半発酵茶”と呼ばれる。発酵の度合いは10~80%とかなり幅広いため、同じ青茶と言えど、銘柄によって様々な味わいを楽しめる。(緑茶の発酵度は0%、紅茶の発酵度は100%)

 

主な産地は、福建省闽北地方、闽南地方、広東省、台湾。近年では湖南省や四川省でも試験的に少量生産されているよう。

 

青茶<目次>

青茶<目次>


楽しみ方

1.楽しみ方

●手軽に飲みたいときは・・・

大きめのマグカップに茶葉を気持ち多めに入れて、直接お湯を注いでください。

 

最初は浮いている茶葉も次第に沈んでいくから大丈夫です。不思議と渋くならないので、さし湯して好みの濃さで楽しんでみてください。

 

●丁寧に飲みたいときは・・・

蓋碗も紫砂壺もおすすめです。紫砂壺は茶葉の雑味や渋味を吸収してくれるので、初心者でもおいしく淹れやすいです。香りも少し一緒に吸収してしまう面もありますがそんなに気になりません。

 

蓋碗なら茶葉が本来持つ香りや味わいがそのまま表現できます。水色も確認できるので、練習なら蓋碗がオススメです。

 

●裏ワザ・・・!

冷やして飲むのも結構おいしいです。大きめの紫砂壺で茶葉にお湯注いで3分間じっくり蒸らします。その間に大き目のグラスに氷いっぱい入れて冷やしておいて、3分経ったら紫砂壺のお茶をグラスに全部出します。お茶と氷をよく混ぜて冷えてきたら飲みます。スッキリ飲めるので暑い夏の日にもおすすめ!

 


生産エリア

2.生産エリア

中国青茶産地の地図
中国青茶産地 ※クリックで拡大

主な産地は、福建省闽北地方、闽南地方、広東省、台湾。近年では湖南省や四川省でも試験的に少量生産されているとのこと。

 


代表的な銘茶

3.代表的な銘茶

(1)大紅袍

(だいこうほう / Da hong pao)

伝統的な中国十大銘茶「武夷岩茶」の中でも最高峰(茶中状元)とされる茶。「岩韻」といわれる岩茶特有の残り香がとても魅力的。

 

(2)武夷肉桂

(ぶいにっけい / Wu yi rou gui)

伝統的な中国十大銘茶「武夷岩茶」の一種。岩茶の中でも肉桂は特に香り高いお茶として百数十年以上の歴史がある銘茶。その香りがシナモンに例えられることから肉桂という名が付いたといわれている。

 

(3)安渓鉄観音

(あんけいてっかんのん / An xi tie guan yin)

伝統的な中国十大銘茶のひとつ。少なくとも清朝乾隆年間初期から栽培されており、既に200年以上の歴史がある。香りのタイプによって「濃香」「韻香」「清香」などに分類される。アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどを多く含む。

 

(4)凍頂烏龍茶

(とうちょうウーロンちゃ / dong ding wu long cha)

台湾の烏龍茶を代表するお茶で「茶の中の聖」とたたえられている。凍頂山で生産されているためこの名で呼ばれるようになった。

 

(5)東方美人

(とうほうびじん / dong fang mei ren)

青茶の中では発酵度が高め(約70%)で、紅茶に似たような甘みのある華やかさを持っている。この甘みのある独特の味や香りは、ウンカという昆虫が噛むことによるもの。そのため茶園は無農薬。

 


製造工程

4.製造工程

青茶 製造工程
青茶 製造工程

※他の中国茶との製造工程比較はこちら



5.銘茶について詳しく・・・

大紅袍

(1)大紅袍

(だいこうほう / Da hong pao)

 

【特徴】

伝統的な中国十大銘茶「武夷岩茶」の中でも最高峰(茶中状元)とされる茶。

 

「岩韻」といわれる岩茶特有の残り香がとても魅力的。大紅袍の母樹は樹齢千年といわれる伝説的な存在で、2016年現在は4本のみが現存している。

 

市場に流通しているのは、この母樹から挿し木してDNAを受け継いだ茶木から製造したもの。

形状 光沢のある黒褐色で強くねじれている
水色 艶と深みのある褐色
香り コクと厚みのある馥郁たる香り。「岩韻」は甘みが心地よい際立つ
味わい まろやかでコクがある。ほのかに香ばしい。後味が長く残る

 


【産地】

福建省武夷山市

武夷山の九曲渓の四曲から六曲が伝統的な茶産地。大紅袍の母樹は、武夷山東北部天心岩天心寺西の九龍窠の岩場に現存している(海抜約600m)

本来は、武夷山の海抜400m以上の産地で採れたものを「正岩茶」、海抜400m未満のものは「半岩茶」、九曲渓周辺(海抜200m程)のものは「洲茶」と区別していたが、実際に現地で購入しようとするとホンモノの「正岩茶」を見抜くのは難しい。(「正岩茶」と言えば高く売れるため)

 

海抜 200~450m、最も高い茶区である三仰峰は729.2m。多雲霧、亜熱帯気候
年間平均気温 18.5~19.9℃
年間平均降雨量 1,600~2,000mm
土壌 酸性岩石が風化したもの、有機質や栄養成分が豊富

 


【歴史・逸話】

名前の由来は諸説ある。

  • 由来1:春になると芽の色が紫紅色になるため、遠くから見ると茶樹がまるで紅色の衣を着ているように見えることからこの名が付いたという説。
  • 由来2:武夷天心寺にあった茶樹から作った茶を飲んで病が治ったため、感謝の気持ちを込めて紅色の衣を茶樹に纏わせたことから。ちなみに、この説で病になって紅色の衣を纏わせたのは、武夷天心寺の僧侶だったり、科挙の試験を受けようと通りかかった秀才だったり、皇后だったり・・・それこそ諸説いろいろ。その昔、紅色の衣は宮廷の大臣だけが着ることを許された特別なものだとか。

 

その他様々な伝説も言い伝えられている。

  • 伝説1:大紅袍は人間が登ることができない絶壁の上に野生しているため、昔は僧侶が猿に果物を与えて茶葉を摘みに登らせていたとか。
  • 伝説2:絶壁に生えている大紅袍の茶葉が、風に吹かれて落ちて来るたびに、僧侶が集めてお茶を製造していたとか。
  • 伝説3・大紅袍は山の神が所有している神聖なものとされ、僧侶が毎年元日に線香を立て、少量を仏様に供えていたとか。

 

  • 毛沢東も好きだったらしい。
  • 以前は、大紅袍の母樹から茶葉を摘む前に、必ず祭壇を設け、線香を立て、礼拝をし、お経をあげていた。製茶の際も、熟練した専門職人の手によって特別な製法で作られ、年間の出来高はたったの400gほど。この貴重な茶葉は福建省と中央政府で分け合って、国賓や政府の要人だけが味わうことができたものだった。しかし、世界遺産に登録されたことをきっかけに保護することを優先し、2006年には母樹の茶葉採取は禁止された。

 

【現地卸値参考価格】(2015年)

一級春茶:20~120元/50g
特級春茶:50~200元/50g

 


武夷肉桂

(2)武夷肉桂

(ぶいにっけい / Wu yi rou gui)

 

【特徴】

伝統的な中国十大銘茶「武夷岩茶」の一種。岩茶の中でも肉桂は特に香り高いお茶として百数十年以上の歴史がある銘茶。

 

その香りがシナモンに例えられることから肉桂という名が付いたといわれている。「玉桂」という別称もある。


現代では生産量も多く、比較的手に入りやすい。主に中国国内の大都市や香港で流通しているほか、東南アジアへも多く輸出されている。

 

形状 深みのある黒褐色の茶葉でかなり強く縒られている
水色 透明感のある琥珀色
香り シナモンや蘭のようなふわっとした柔らかい香り
味わい 滑らかでコクがある。飲んだ後も口の中で余韻を感じる

 


【産地】

福建省武夷山市
※詳細は「大紅袍」欄を参照

 

【歴史・逸話】

  • 肉桂茶樹の原産地は武夷山の彗苑岩もしくは馬振峰であるという2つの説がある。
  • 『崇安県新志』という書物によると、清代にはすでに有名なお茶であったとのこと。
  • 1960年代はじめ、肉桂茶樹は武夷山市茶ば科学研究所によって、水簾洞から武夷天游に移殖されて以降生産地は拡大し、1980年代後期には、武夷山の百花庄、馬頭岩、三仰峰、九龍窠、竹窠など広く分布していた。

 

【現地卸値参考価格】(2015年)

春茶特級:50~120元/50g
秋茶(2014):20~70元/50g

 

 

※実際に飲んでみました!⇒茶味ログ【青茶】竹窠肉桂


安渓鉄観音

(3)安渓鉄観音

(あんけいてっかんのん / An xi tie guan yin)

 

【特徴】

伝統的な中国十大銘茶のひとつ。少なくとも清朝乾隆年間初期から栽培されており、既に200年以上の歴史がある。

 

青茶の中でも発酵は軽めで緑茶に近い。茶葉は「緑葉紅鑲の辺」(緑色の葉に赤色の縁どりがある)と表現される。

 

香りのタイプによって「濃香」「韻香」「清香」などに分類される。アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどを多く含む。

 

形状 肉厚な茶葉がぎゅっと丸まっていて珠のようになっている
水色 濃いめの黄金色
香り 蜜、蘭、金木犀などに例えられる香り。鉄観音独特の「音韻」はとにかく甘い
味わい

緑茶に近い爽やかな印象だが、甘みもしっかり感じる。余韻はさらに甘くなる

 


【産地】

福建省安渓県

 

海抜 100~1000m。多雲霧、海洋性気候、亜熱帯
年間平均気温 17.7~18.9℃
年間平均降雨量 1,700~1,900mm
土壌 酸性、赤土、有機物豊富

 


【歴史・逸話】

名前の由来は諸説ある

  • 伝説1:清・乾隆帝の時代(1736~1796年)に、安渓西坪鎮松岩村松林頭の茶農・魏蔭が作ったという話。仏教への信仰が厚かった魏蔭は毎朝必ず一杯のお茶を観音像の前に供えていた。ある日、夢で見た輝く茶の木が観音岩にあるのを発見し、持ち帰り育てて茶を製造した。彼が作り上げたお茶は鉄のようにずっしりと重く、香りが素晴らしかったことから、観音様からの賜りものだと信じて「鉄観音」と名づけた。
  • 伝説2:福建省の南山という場所にある鉄観石の間に生えていた1本の茶の木を持ち帰り育て、移植したことから「南岩鉄観音」と名付けられたとも言われている。
  • 1945年シンガポール品評会で金杯、1950年タイの品評会で特等賞、1982年中国の品評会で金質賞を受賞するなどして、評価と知名度が高くなった。

 

【現地卸値参考価格】(2015年)

(清香型)
一級春茶:15~50元/50g
特級春茶:20~280元/50g

(濃香型)
一級春茶:10~60元/50g
特級春茶:10~300元/50g

(韻香型)
特級春茶:20~80元/50g

 


凍頂烏龍茶

(4)凍頂烏龍茶

(とうちょうウーロンちゃ / dong ding wu long cha)

 

【特徴】

台湾の烏龍茶を代表するお茶で「茶の中の聖」とたたえられている。凍頂山で生産されているためこの名で呼ばれるようになった。

 

以前はしっかり焙煎をして香ばしさのある「濃香(ノンシャン)」系が多かったが、近年では焙煎をせず緑茶のようなさわやかさを残した「清香(チンシャン)」系が主流になっている。

 

形状 深緑色、半球形に強く揉捻されている
水色 明るい黄緑色
香り 爽やかさのあるフルーティーな香り。飲み干した後も鼻の奥に甘みがこみあげてくる
味わい

爽やかで芳醇、甘みを帯びた風味が余韻として口の中に長く残る

 


【産地】

台湾南投県鹿谷郷凍頂山一帯

 

海抜 600~800mの高山地帯、雲霧多い
年間平均気温 22℃前後
年間平均降雨量 2,200mm前後
土壌 高粘土質、小細石多く、排水・貯水に適している

 


【歴史・逸話】

・起源としては、150年ほど昔に中国福建省から持ち込まれた烏龍種のお茶が凍頂山にて栽培されるようになったと伝えられている。

 

・凍頂山で生産されているためこの名で呼ばれるようになった。凍頂山の山道は険し上に年中雨や霧が多く滑りやすいため、山を登る際は指でしっかり踏ん張る必要があった。この足で踏ん張ることを台湾語で「凍脚尖」ということから、凍頂山と名付けられたという。実際には厳冬期でも凍結することはない。

 

・台湾では100年以上の歴史を持つお茶。1970年代後半から現在の半球形になり、1980年代にコンテスト等により台湾での知名度が上がった。

 

・花粉症に効果があると某テレビ番組で紹介されたことから日本での知名度が一気に上がった。実際に効果があるか否かは個人差に因るところが大きい。

(私の母には効いているようで毎年1月頃から毎日飲み続けると花粉の時期は比較的症状が軽いとのこと。一方で効かないと言っている知人もいる。)

 

【現地卸値参考価格】(2015年)

・特級春茶:20~150元/50g

 


東方美人

(5)東方美人

(とうほうびじん / dong fang mei ren)

 

【特徴】

白毫烏龍、香檳(シャンピン)烏龍、紅烏龍、五色茶、膨風茶など、別称が多いお茶。

 

1800年代欧州へも輸出され、ではフォルモサウーロンやオリエンタルビューティーという名前で親しまれてきた。

 

青茶の中では発酵度が高め(約70%)で、紅茶に似たような甘みのある華やかさを持っている。この甘みのある独特の味や香りは、ウンカという昆虫が噛むことによるもの。そのため茶園は無農薬。

 

形状 赤や黄色を帯びた茶葉は自然に曲がっていて、芽や葉に白毫もみられる
水色 透明感のある琥珀色
香り ハチミツや熟した果実に形容される香り
味わい

紅茶のような深みのあるコクと甘み

 


【産地】

台湾新竹県、苗栗県、桃園県など

 

(新竹県↓)

 

海抜 400m、山岳起伏、群山連綿
年間平均気温 20~25℃、海洋性気候
年間平均降雨量 2,000m前後
土壌 保水土壌

 


【歴史・逸話】

・福建省建瓯市の矮脚烏龍をもとに作られ始めた。

 

・ある茶農家がウンカによる食害を受けた茶葉をダメ元で製茶してみたところ非常に香り豊かなお茶ができた。しかしその製法を信じてもらえず、嘘つき(ホラ吹き)のお茶という意味で「膨風茶」と呼ばれるようになったという逸話がある。

 

・「五色茶」という名前は、高品質の茶葉が褐色・白・紅・黄・緑と色彩豊かであることから命名された。

 

・「オリエンタルビューティー(東方美人)」という名はイギリスのヴィクトリア女王が名付けたというのが通説だが、年代的に矛盾するとか。

 

・ウンカ(チャノミドリヒメヨコバイ、中国名:小緑葉蝉)という体調3~4mmの小さな昆虫が、茶樹の若葉や茎から樹液を吸うと、傷ついた茶葉の修復防御反応の過程でファイトアレキシンという人でいう抗体のような物質を生成する。ファイトアレキシンの1つにテルペノイドという果物の香りがする低分子の物質の作用により、フルーティーな香りのお茶ができると考えられている。

 

・近年では台北の坪林や石碇一帯にも生産地が広がっている。

 

・青心大有という品種から作られる。

 

【現地卸値参考価格】(2015年)

・新茶:100~300元/50g