青茶、またの名を、烏龍茶。日本で中国茶といえば誰もがイメージするのはこのお茶。緑茶の爽やかさと紅茶の華やかさを併せ持っている。
茶葉の発酵をある程度で止めるので、”半発酵茶”と呼ばれる。発酵の度合いは10~80%とかなり幅広いため、同じ青茶と言えど、銘柄によって様々な味わいを楽しめる。(緑茶の発酵度は0%、紅茶の発酵度は100%)
主な産地は、福建省闽北地方、闽南地方、広東省、台湾。近年では湖南省や四川省でも試験的に少量生産されているよう。
大きめのマグカップに茶葉を気持ち多めに入れて、直接お湯を注いでください。
最初は浮いている茶葉も次第に沈んでいくから大丈夫です。不思議と渋くならないので、さし湯して好みの濃さで楽しんでみてください。
蓋碗も紫砂壺もおすすめです。紫砂壺は茶葉の雑味や渋味を吸収してくれるので、初心者でもおいしく淹れやすいです。香りも少し一緒に吸収してしまう面もありますがそんなに気になりません。
蓋碗なら茶葉が本来持つ香りや味わいがそのまま表現できます。水色も確認できるので、練習なら蓋碗がオススメです。
冷やして飲むのも結構おいしいです。大きめの紫砂壺で茶葉にお湯注いで3分間じっくり蒸らします。その間に大き目のグラスに氷いっぱい入れて冷やしておいて、3分経ったら紫砂壺のお茶をグラスに全部出します。お茶と氷をよく混ぜて冷えてきたら飲みます。スッキリ飲めるので暑い夏の日にもおすすめ!
主な産地は、福建省闽北地方、闽南地方、広東省、台湾。近年では湖南省や四川省でも試験的に少量生産されているとのこと。
(だいこうほう / Da hong pao)
産地は福建省武夷山市。伝統的な中国十大銘茶「武夷岩茶」の中でも最高峰(茶中状元)とされる茶。「岩韻」といわれる岩茶特有の残り香がとても魅力的。
(ぶいにっけい / Wu yi rou gui)
産地は福建省武夷山市。伝統的な中国十大銘茶「武夷岩茶」の一種。岩茶の中でも肉桂は特に香り高いお茶として百数十年以上の歴史がある銘茶。その香りがシナモンに例えられることから肉桂という名が付いたといわれている。
(あんけいてっかんのん / An xi tie guan yin)
産地は福建省安渓県。伝統的な中国十大銘茶のひとつ。少なくとも清朝乾隆年間初期から栽培されており、既に200年以上の歴史がある。香りのタイプによって「濃香」「韻香」「清香」などに分類される。アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどを多く含む。
(とうちょうウーロンちゃ / dong ding wu long cha)
産地は台湾南投県鹿谷郷凍頂山一帯。台湾の烏龍茶を代表するお茶で「茶の中の聖」とたたえられている。凍頂山で生産されているためこの名で呼ばれるようになった。
(とうほうびじん / dong fang mei ren)
産地は台湾新竹県、苗栗県、桃園県など。青茶の中では発酵度が高め(約70%)で、紅茶に似たような甘みのある華やかさを持っている。この甘みのある独特の味や香りは、ウンカという昆虫が噛むことによるもの。そのため茶園は無農薬。
(ほうおうたんそう / Feng Huang Dan Cong)
産地は広東省潮州市鳳凰山一帯。華やかでフルーティーな香りが特徴のお茶。蜜蘭香、黄枝香、芝蘭香、通天香など茶樹によって個性的な香りを持つ。元々は一株毎に製茶していたことから「単叢」という名がついた。
※他の中国茶との製造工程比較はこちら
(だいこうほう / Da hong pao)
伝統的な中国十大銘茶「武夷岩茶」の中でも最高峰(茶中状元)とされる茶。
「岩韻」といわれる岩茶特有の残り香がとても魅力的。大紅袍の母樹は樹齢千年といわれる伝説的な存在で、2016年現在は4本のみが現存している。
市場に流通しているのは、この母樹から挿し木してDNAを受け継いだ茶木から製造したもの。
形状 | 光沢のある黒褐色で強くねじれている |
水色 | 艶と深みのある褐色 |
香り | コクと厚みのある馥郁たる香り。「岩韻」は甘みが心地よい際立つ |
味わい | まろやかでコクがある。ほのかに香ばしい。後味が長く残る |
福建省武夷山市
武夷山の九曲渓の四曲から六曲が伝統的な茶産地。大紅袍の母樹は、武夷山東北部天心岩天心寺西の九龍窠の岩場に現存している(海抜約600m)
本来は、武夷山の海抜400m以上の産地で採れたものを「正岩茶」、海抜400m未満のものは「半岩茶」、九曲渓周辺(海抜200m程)のものは「洲茶」と区別していたが、実際に現地で購入しようとするとホンモノの「正岩茶」を見抜くのは難しい。(「正岩茶」と言えば高く売れるため)
海抜 | 200~450m、最も高い茶区である三仰峰は729.2m。多雲霧、亜熱帯気候 |
年間平均気温 | 18.5~19.9℃ |
年間平均降雨量 | 1,600~2,000mm |
土壌 | 酸性岩石が風化したもの、有機質や栄養成分が豊富 |
名前の由来は諸説ある。
その他様々な伝説も言い伝えられている。
一級春茶:20~120元/50g
特級春茶:50~200元/50g
(ぶいにっけい / Wu yi rou gui)
伝統的な中国十大銘茶「武夷岩茶」の一種。岩茶の中でも肉桂は特に香り高いお茶として百数十年以上の歴史がある銘茶。
その香りがシナモンに例えられることから肉桂という名が付いたといわれている。「玉桂」という別称もある。
現代では生産量も多く、比較的手に入りやすい。主に中国国内の大都市や香港で流通しているほか、東南アジアへも多く輸出されている。
形状 | 深みのある黒褐色の茶葉でかなり強く縒られている |
水色 | 透明感のある琥珀色 |
香り | シナモンや蘭のようなふわっとした柔らかい香り |
味わい | 滑らかでコクがある。飲んだ後も口の中で余韻を感じる |
福建省武夷山市
※詳細は「大紅袍」欄を参照
春茶特級:50~120元/50g
秋茶(2014):20~70元/50g
※実際に飲んでみました!⇒茶味ログ【青茶】竹窠肉桂
(あんけいてっかんのん / An xi tie guan yin)
伝統的な中国十大銘茶のひとつ。少なくとも清朝乾隆年間初期から栽培されており、既に200年以上の歴史がある。
青茶の中でも発酵は軽めで緑茶に近い。茶葉は「緑葉紅鑲の辺」(緑色の葉に赤色の縁どりがある)と表現される。
香りのタイプによって「濃香」「韻香」「清香」などに分類される。アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどを多く含む。
形状 | 肉厚な茶葉がぎゅっと丸まっていて珠のようになっている |
水色 | 濃いめの黄金色 |
香り | 蜜、蘭、金木犀などに例えられる香り。鉄観音独特の「音韻」はとにかく甘い |
味わい |
緑茶に近い爽やかな印象だが、甘みもしっかり感じる。余韻はさらに甘くなる |
福建省安渓県
海抜 | 100~1000m。多雲霧、海洋性気候、亜熱帯 |
年間平均気温 | 17.7~18.9℃ |
年間平均降雨量 | 1,700~1,900mm |
土壌 | 酸性、赤土、有機物豊富 |
名前の由来は諸説ある
(清香型)
一級春茶:15~50元/50g
特級春茶:20~280元/50g
(濃香型)
一級春茶:10~60元/50g
特級春茶:10~300元/50g
(韻香型)
特級春茶:20~80元/50g
(とうちょうウーロンちゃ / dong ding wu long cha)
台湾の烏龍茶を代表するお茶で「茶の中の聖」とたたえられている。凍頂山で生産されているためこの名で呼ばれるようになった。
以前はしっかり焙煎をして香ばしさのある「濃香(ノンシャン)」系が多かったが、近年では焙煎をせず緑茶のようなさわやかさを残した「清香(チンシャン)」系が主流になっている。
形状 | 深緑色、半球形に強く揉捻されている |
水色 | 明るい黄緑色 |
香り | 爽やかさのあるフルーティーな香り。飲み干した後も鼻の奥に甘みがこみあげてくる |
味わい |
爽やかで芳醇、甘みを帯びた風味が余韻として口の中に長く残る |
台湾南投県鹿谷郷凍頂山一帯
海抜 | 600~800mの高山地帯、雲霧多い |
年間平均気温 | 22℃前後 |
年間平均降雨量 | 2,200mm前後 |
土壌 | 高粘土質、小細石多く、排水・貯水に適している |
・起源としては、150年ほど昔に中国福建省から持ち込まれた烏龍種のお茶が凍頂山にて栽培されるようになったと伝えられている。
・凍頂山で生産されているためこの名で呼ばれるようになった。凍頂山の山道は険し上に年中雨や霧が多く滑りやすいため、山を登る際は指でしっかり踏ん張る必要があった。この足で踏ん張ることを台湾語で「凍脚尖」ということから、凍頂山と名付けられたという。実際には厳冬期でも凍結することはない。
・台湾では100年以上の歴史を持つお茶。1970年代後半から現在の半球形になり、1980年代にコンテスト等により台湾での知名度が上がった。
・花粉症に効果があると某テレビ番組で紹介されたことから日本での知名度が一気に上がった。実際に効果があるか否かは個人差に因るところが大きい。
(私の母には効いているようで毎年1月頃から毎日飲み続けると花粉の時期は比較的症状が軽いとのこと。一方で効かないと言っている知人もいる。)
・特級春茶:20~150元/50g
(とうほうびじん / dong fang mei ren)
白毫烏龍、香檳(シャンピン)烏龍、紅烏龍、五色茶、膨風茶など、別称が多いお茶。
1800年代欧州へも輸出され、ではフォルモサウーロンやオリエンタルビューティーという名前で親しまれてきた。
青茶の中では発酵度が高め(約70%)で、紅茶に似たような甘みのある華やかさを持っている。この甘みのある独特の味や香りは、ウンカという昆虫が噛むことによるもの。そのため茶園は無農薬。
形状 | 赤や黄色を帯びた茶葉は自然に曲がっていて、芽や葉に白毫もみられる |
水色 | 透明感のある琥珀色 |
香り | ハチミツや熟した果実に形容される香り |
味わい |
紅茶のような深みのあるコクと甘み |
台湾新竹県、苗栗県、桃園県など
(新竹県↓)
海抜 | 400m、山岳起伏、群山連綿 |
年間平均気温 | 20~25℃、海洋性気候 |
年間平均降雨量 | 2,000m前後 |
土壌 | 保水土壌 |
・福建省建瓯市の矮脚烏龍をもとに作られ始めた。
・ある茶農家がウンカによる食害を受けた茶葉をダメ元で製茶してみたところ非常に香り豊かなお茶ができた。しかしその製法を信じてもらえず、嘘つき(ホラ吹き)のお茶という意味で「膨風茶」と呼ばれるようになったという逸話がある。
・「五色茶」という名前は、高品質の茶葉が褐色・白・紅・黄・緑と色彩豊かであることから命名された。
・「オリエンタルビューティー(東方美人)」という名はイギリスのヴィクトリア女王が名付けたというのが通説だが、年代的に矛盾するとか。
・ウンカ(チャノミドリヒメヨコバイ、中国名:小緑葉蝉)という体調3~4mmの小さな昆虫が、茶樹の若葉や茎から樹液を吸うと、傷ついた茶葉の修復防御反応の過程でファイトアレキシンという人でいう抗体のような物質を生成する。ファイトアレキシンの1つにテルペノイドという果物の香りがする低分子の物質の作用により、フルーティーな香りのお茶ができると考えられている。
・近年では台北の坪林や石碇一帯にも生産地が広がっている。
・青心大有という品種から作られる。
・新茶:100~300元/50g